KANGEKI-LOG

観劇とか感激とか思考の吐き出しとか

【観劇記録】サンクユーベリーベリー

演劇女子部さんの「サンクユーベリーベリー(2015ver)」をU-NEXTで観ました!(劇女作品観劇、もう何作目か数えるのはやめました)
可愛らしい衣装に惹かれ「一体どんな演目なのだろう」…と前情報なしに観たら、全国女子高校合唱コンクールを舞台にした青春&成長ものでした、ワオ!予想外!
脚本は偶然にも、今作の前に観た「トライアングル」と同じ塩田泰造さん。間合いや展開の独特さは「ごがくゆう」に近しいものを感じたかな。テーマのストレートさは「トライアングル」に通じる気も。個人的には中盤辺りまで没入しづらかったのですが、観劇後はすごく清々しい気持ちになりました。良かったです!

あらすじ
全国女子高校合唱コンクール「あの子が歌うのを見たんだ!(通称アノコウタ)」での連覇を狙う弁天女子学院と、頭は悪いが勢いとハートの熱さでは負けない初出場・丸富高校。教師におだてられてチームを結成し「歌詞の意味なんて考えたことない!」スタンスの丸富3人と、厳しい指導や部長の転校で内部崩壊している弁天のメンバー。そして奇しくも二つの高校と縁を持つ苦学生の貧乏少女。それぞれの関わりの中で一人一人が「歌」と共に変化していく青春&成長ストーリー。

可憐な衣装に反して、筋書きはめちゃくちゃベタ&ストレート(でもそこがいい)。

軸として成長が描かれる主人公は、弁天のエースでゴーイングマイウェイな少女・長雲学子(演・浅倉樹々)。役の幼い雰囲気(お嬢様で自分が世界の中心にいる、でも憎めない感じ)に、演者の浅倉さんがマッチしていたなあと思います。それでいて表情豊か。
大好きな親友(部長)が転校を、大好きな兄がとある秘密を自分に黙っていたことに「どうして言ってくれないの!」と疎外感を覚える年相応な感じが大変に愛らしい。その中で、特に、悩んだり悲しんだりするときのお顔が印象的だったな。耳よりも目が惹かれる感じでした。

彼女を支える葉子(演・岸本ゆめの)は、合唱部応援団として「オッス」な感じで現れるしお顔立ちもハッキリした「カッコイイ」雰囲気なのですが、男勝りというわけではなく、とても懐の広く、少し大人びていて友達思いの少女。なんとなく、長雲にとって部長で親友の水島果菜(演・石井杏奈)の存在の方が葉子より大きく感じられるだけに、葉子の献身がより健気に見える…。

個人的には丸富の「生徒がた」が好きです。フリフリ着てるのにお上品じゃないところも含めて好きだし、顧問の先生(赤ジャージにリーゼント!笑)との関係性も良い。前に出る役ではないのですが、安彦玲(演・新沼希空)の目力が印象的だったな。丸富組の溜まり場(おでんカフェ!笑)でバイトする貧乏少女・小西眞佳(演・山岸理子)はぽわーっとした雰囲気に透明感がある。「恩を〇で返しちゃいます!」の台詞が好きです。

あ、あと大人組がいることでさらに舞台に深みがでているなと感じました(特にラストは、大人組が後ろにいるからこそぐっとくるものがある)。「怪獣のバラード」や「あの素晴らしい愛をもう一度」など、合唱でおなじみの曲も久しぶりに聞いてエモを味わいました。

ミュージカルとライブの違いって、ミュージカルの「歌」には舞台の上の「役」の想い/変化が絡んでくるところだなあというのを再確認した舞台でもありました。最初と最後では、役にとっても観客にとっても「歌」の持つ意味が変わってくるし、その変化を愛しいと思える舞台だった!

劇女作品を観る中でモー娘。アンジュルムのキャストさんはだいぶ覚えてきたのですが、つばきファクトリーさんは実質初見。これからまた舞台で出会う機会もあるかな。お名前とお顔を覚えていきたいです。

あ、あとキャストさんの御髪がみなさんめちゃくちゃきれいでした…さらさら…。

(ネタバレメモは後日追記したい。取り急ぎ観劇後の印象をざくざく書きました!)

*memo*
長雲学子:浅倉樹々/服部葉子:岸本ゆめの
前嶋今日花:谷本安美/安彦玲: 新沼希空
小西眞佳:山岸理子/夏川未知男:小片リサ
水島果菜:石井杏奈/榎本かおり:小野田暖優
脚本:塩田泰造(大人の麦茶)
演出:須藤茉麻
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS)
主催・企画・制作:BS-TBS / オデッセー

以下初見ネタバレメモ
・過去のレポをチラチラみたのですが、ゲキハロ時代はミュージカルじゃなくて、衣装も普通の制服寄りだったのね!初演も気になる。
・岸野さん最初に特攻服というかタンクトップ?チューブトップ?みたいな服装になられて勝手にドキドキしてしまったしスタイル良すぎて「ひえええ」ってなってしまった。
小片リサさんの男役、かなり自然だったし、マナカとの関係も(たくさん描かれているわけではないけど)好みだったなあ。そしてトライアングルにも出演されていたことに観劇後に気づく。丸富組がマナカの背中押してあげるの本当に尊い…。そういえば優勝は二校で山分けになったのかな。みんなで修学旅行してくれ…。
・劇女の舞台、末満脚本は役者の背を押して押し上げるイメージだけど、塩田脚本は役者の先を走って早く追いついてこい、と檄をいれるような、どちらも役者たちの可能性を信じている感じが好きだなあと思う。観劇後の興奮は、前者は即効性、後者は遅効性って感じ。

【観劇記録】TRIANGLE-トライアングル-

 ハロプロ(演劇女子部)を推す先輩方からのアツいオススメに天啓を受け、円盤お迎えしました「TRIANGLE(2015)」。パッケージではどんな物語が全く想像が付いていなかったのですが、ざっくりくくると「SFファンタジー」ものです。

演劇女子部ミュージカル「TRIANGLE-トライアングル-」 [DVD]www.amazon.co.jp 6,844円(2020年08月15日 21:18時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
あらすじ
舞台は争いのない惑星アルファ。女王陛下の「天のお告げ」に従ってサクラ姫の婚約の議が執り行われる。サクラ、幼なじみのオメガ人アサダ、戦いの星ヴィータから移住したキリの複雑な想いを描く物語。

 サクラの視点の物語『α』、アサダの視点の『β』を立て続けに鑑賞。私は『α』を観た後「え、この結末なの!?」と少々びっくりしていたのですが、それが『β』で解き明かされ「なるほどなあ…」となりました(ネタバレ避けると具体的に何も言えない!笑)

 開幕した瞬間思ったのは「舞台が可愛い!」。パステルカラーにキラキラ点滅するお星様。例えるならディズニーシーのマーメイドラグーンのよう(ヒトデの髪飾りとか、海藻っぽい舞台装飾もある)。
 なにより、この世界(星?)には「スワスワ」という発光して電気(エネル)を作るクラゲのようないきものがいるのですが、この「スワスワ」をキャストさんが白くてふわふわした衣装を着て演じていて、大変に可愛い!「スワ〜」って鳴く(話す)のもキュート。癒し。

 物語は、展開の起伏は激しくなく、2パターンの公演を通じ、てサクラの婚約をめぐる、3人+サクラの侍女・ローズウッドの4人の関係の変化と選択が描かれています。原案となった短編(視聴後に拝読)とはまた少し異なる趣で、そこもまた良い(し脚本の意図を考えるのが楽しい)。

 主役のサクラは、天真爛漫で純粋。大切に育てられてきた箱入り娘(お金のこともよくわかってなさそう)。でも周りの人を振り回すような強引さはなく、優しい雰囲気。思っていることと言葉にすることが一致している、裏表のない少女。
 演じる石田さんは、本作以前の公演「LILIUM」や「ごがくゆう」では闊達で気の強そうな少女を、本作後の「続・11人いる」では爽やかな好青年を演じていたのですが…さらなる可能性を見てしまった。とてもとても可愛い。ポニーテールが無限に似合うし笑った時の細まったお目目にきゅんとしてしまう。

 そんなサクラをめぐる2人の男性。工藤さん演じるアサダと、鞘師さん演じるキリ。
 アサダはフワフワ使い(羊飼いみたいな感じ)の平民で、サクラと親しい朴訥な青年。スワスワのお世話してる時が大変にかっこかわいくてきゅんとする。キリは怜悧な空気を纏う戦士で、手が触れた相手の心を読む力を持っている。αで殺陣の見せ場があるのですがめちゃくちゃかっこよかった。

 はてさて「天のお告げ」が指し示す婚約者……サクラと将来結婚するのはどちらだー!?というのが話の軸です。

 「天のお告げ」を示すのはサクラの母で「女王」のイオタ(演・譜久村聖さん。似合う。歌も良い)。須藤茉麻さんのゼータ国王(この場合「王配」なのかな)もこの作品で描かれる「選択」に置ける重要なポジションを陰ながら担っていて、味があった。
 あと、先述した侍女のローズウッド(小田さくらさん)の演技が控えめながらも随所で凄まじく光ってます。前年のリリウムが初舞台だったんですよね…小田さん…この1年に何が…というレベルでさらに磨きがかかってたなあ。

 音楽とダンスは今まで見てきたミュージカル作品と比べると初見ではそこまで耳に残ったりインパクトがあったり…って感じではありませんでしたが、じわじわ好きになりそうです。

 あ、あと衣装がね〜!!やはりそこはかとなくマーメイドチックでもあり、アラビアンな民族風味もあり、メルヘン異国籍な感じがすごく可愛らしかったです(だけにキリ中尉の衣装は黒+赤の直線的デザインで良い意味で浮いていたな)。

 劇的な衝撃のある物語ではないけれど、2パターンを重ね合わせながら一つ一つ答え合わせをしたり、言葉や心、彼女たちの選択に想いを馳せる時間に穏やかな充足感を覚える、そんな作品だと思います。(ネタバレは最下部に)

*memo*(公式サイト
イオタ:譜久村聖/キリ:鞘師里保
サクラ:石田亜佑美/ダイス:佐藤優樹
アサダ:工藤遥/ローズウッド:小田さくら
ジョンベル/ スワスワのクロエ:尾形春水
クラルス/スワスワのルーン:野中美希
スワスワのリンディ:牧野真莉愛
リベット/スワスワのホップ:羽賀朱音生物
ゼータ:須藤茉麻
ブナ/スワスワのシェール:石井杏奈
オバンコール/スワスワのナビィ:小野田暖優
チーク卿/スワスワのフィラ:小片リサ
ピンプ/スワスワのカイト:高瀬くるみ
原案:くらもちふさこ [α] -アルファ-(集英社 刊)
脚本:塩田泰造(大人の麦茶)
演出:吉田健(TBSテレビ)
音楽:市川淳
振付:YOSHIKO
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS)
主催・企画・制作:BS-TBS / オデッセー


以下、いつも通りつらつら語る初見ネタバレメモ
・アサダとくっつくと思ってた!笑 アサダが隠れヴィータ人なのは割と初期からわかっていた(からこそ「実は婚約者はアサダでしたー!」パターンかとおもっていた)、αの結末は結構びっくりした。原案の漫画読んでみたら、漫画はそのパターンだったからさらに驚き。
・でもアルファの時点でキリ→サクラへの想いは描かれているし、サクラの決断や、αではっきりしなかったアサダとローズウッド周りもβで綺麗に解明された感じ。最終的にはすとんと納得したというか、やっぱり決め手は、最後にサクラがアサダに(不正確な記憶だけど)キリから贈られた言葉を用いて「心を読むよりも早く気持ちを伝える方法がある」って言ったところかな。キリに言われた場面はサクラにとっては余り良い思い出ではないのかも知れないけれど、あの言葉をきっかけにサクラは「心」や「心を読まれること」について考えて変化していったんじゃないかなと感じるので。
・サクラ姫は「心を読まれること」を恐れている。婚約(相手はわからないが)決まったらなおのこと、特に読まれたくないのは「アサダへの恋心」…だとは思うんだけど、実際のところサクラには裏表がないんですよね。そこに、心を読んでしまうキリもアサダも安心感を覚えて惹かれていくわけで。女王も国王も、サクラがアサダを好いていたのには気づいていた気もする(王様は何回か聞いてたし)。
・この辺まだ明確に考えられてないのですが、サクラにとって内側であふれだす「心」と、意志を持って外側に出す「言葉」は同じ内容でもまったく違う、だから読まれたくないのでは、という気持ちが私の中にある。この辺に「争いを知らない」ことが絡んできそうな(脳内で)気がするんだけど、まだまとまらない。
・「触れれば ココロが、あふれだす」がこの作品のキャッチコピー。作品を通して、手を繋ぐ(触れる)ことの違いや変化が面白い。キリ・アサダにとってはそのまま「心を読む(� ��ふれだすココロに触れる)」行為でもあり、前半のサクラにとっては「心を近づける(好き/恋心を増大させる)」行為である。そして、後半のサクラにとっては、心を読むキリ・アサダの「手を取る」ことは、自らの意志で「心を差し出す」こと。ラストに手を取り合ったサクラの心の内をキリだけが知ってるの、ニクいなあ。
・構図的にはサクラはまるでローズウッドにアサダを譲ったようにも見えるけど、「心を読みましたか?」の時点でもうしっかり、キリを選ぶことを決めてるんだよね。でもちゃんと言葉にして伝えるんだよ、サクラは(この辺先述のことに繋がりそう)。彼女のまっすぐさが好きです。
・ローズウッド。アサダがヴィータの力を持っていなければきっとアサダへの思いも婚約の経緯も全て、きっと1人で墓場まで持っていった子だと思うのね。そして彼女もまた、読まれて困る心などないほどに裏表のない「もう1人のサクラ」のような存在だった。アサダはその安心感安定感にほだされた部分もあるのかなあ、へたれー!とも思ってしまうのだけれど、あれだけ陰ながら献身されてたらやっぱり、情は湧いてしまうよね。
・キリ様あまりに健気でびっくりしちゃった…。といいつつ、手に入れるためならなんでもするも一つの本音だったような気もする(でもそれを徹底できないのが人間臭くて良い)。邂逅のあとは、一度もサクラの心を読もうとはしなかったのがまたな…(でもサクラの気持ちが全部お見通しなのもまた。五感を使ってじっとみてきたんだね)。あ、サクラ姫とのダンスがキレッキレでよかったな。最初1人で踊り始めて何事かと思ったら触れないためだったのさあ…そういうところ…。練習の成果はぜひ結婚式で披露してください。
・触れれば心が溢れ出す」けれども、彼らの決断が溢れ出した心を超えた(あるいは別の)ところにあるのがなんともこう、切なくもありどこまでも「人間」を人間たらしめるものでもあるなと思う。というか読める心は所詮表層で、もっと深いところから拾 い上げた言葉にもなっていないものをつなぎあわせて、それぞれが自分が取る手を決めたのだろうな。
(また多分追記します)

【観劇記録】SMILE FANTASY

アイドルがアイドルを演じる2時間の「演劇」があまりに愛と夢と希望でアイカツでディズニーだった

疲れてるあなた、元気がでないあなた、泣きたいのに泣けないあなた。2時間だけ空いてたりしません?スマホだけ用意して(パソコンでも良いけれど)。

□ミュージカル/歌が好き
□アイドルが好き
アイカツやプリパラが好き
□ディズニー/パークのショーが好き

一つでも当てはまったら観て欲しい。それがこの、ジュークボックスミュージカル『SMILE FANTASY』。なんとU-NEXTで配信していて、今登録すると1カ月のトライアル期間中に無料で観られちゃう。何も考えずとりあえずクリックして浴びてほしい。

なお仕事がうまくいかず心身がどん底だったときに偶然浴びた経験者(私)はこう言ってる。

「愛と夢と希望のエレクトリカルパレード(28歳・会社員)

「泣けて笑えるぜんぶがやさしさでできたおクスリ」(20代・女性)

アイカツ無印全178話を一気に摂取した並の多幸感」(アラサー・人間)

この「演劇(舞台)」に出演する役者は、アイドルとして活動する6人の少女。彼女たちに与えられた役は、自分の分身とも言える「アイドルの少女」。6人は、ライブの打ち上げでお泊まり会をして、ピンクのふわふわのパジャマを着てパーティーして、恋を夢見て、いっぱい歌って踊って笑う。底抜けに明るくて楽しい、そしてちょっぴり切ないミュージカルだ。もうここから下は読まなくて良い。上のリンクから浴びて。
歌が素敵、ダンスも素敵、存在すべてがかわいい(ときどき格好良くて、艶っぽい)。最高だ!観てきて!

※動画は公式が公開している千秋楽のメイキング映像

スマイレージDVD/演劇女子部 S/mileage's JUKEBOX MUSICAL 『SMILE FANTASY』www.amazon.co.jp 5,000円(2020年08月11日 12:33時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する

以下、いつも通りの観劇note

…頑張ってオススメ記事を書きたいと思ったのですが無理そうなのでもういつも通り感じたことつらつらつづります。

あらすじ
もうひとりの自分と出会う冒険。
アヤカ、カノン、カナ、アカリ、リナ、メイミの6人の少女たち。
アイドルとして人生を送る彼女たちは、ある日、不思議な世界へと足を踏み入れる。そこは、もしも彼女たちがアイドルになっていなかったら生きたであろう「もうひとつの人生」。
彼女たちは if世界 で、自分ではない自分の人生を生きることとなる。
作品を彩るはスマイレージの数々の楽曲とこの作品のために書き下ろされる新曲!武道館公演を迎え、さらにそのNEXTへと向かう等身大のスマイレージが挑む、ポップ&キュートなジュークボックス・ミュージカル!!

劇女さんの舞台はこれで8本目かな(感想書くの追いついてないんです…笑)。でも相変わらず私は舞台上の彼女たちしかほぼ知らないままで。今回も「スマイレージは確か、アンジュルムの前の名前」くらいの認識でした。

で、「スマイルファンジー」は正直(ジュークボックスミュージカル…?歌が中心で筋書きはおまけくらいかなあ)の気持ちでいたので、観るのを後に回してたんですね。
それが、あんまりに仕事で疲れた日、帰宅して午後11時にU-NEXT開いたら(劇女摂取しなきゃみたいな気持ちになってた)、改めて、砂糖菓子みたいな可愛いピンク色の衣装を着た女の子たちのサムネイルが目に飛び込んできて。

開いたら、パジャマパーティーだし、やわらかくて、可愛くて、キラキラしてて「うわあ、アイドル!アイドルだぁ!」ってなって、オープニングにはディズニーのショーが始まるみたいなワクワク感があって「あーーーーーー」って目が冴えた。

そしてメイミを慰めるとこの楽曲「がんばらなくてもええねんで!!」で涙がぼろっぼろ出てきた。なお楽曲一つも知らないので、途中まで頭回ってなくて全部このミュージカルのための曲だと思ってた。そう感じるくらいに挿入の仕方が自然でした。
リリウムやステイシーズを手掛けた末満さんの脚本と聞いて(いったいどうなるんや…地獄展開なの…?まさか…?)と思っていたことをお詫び申し上げたい。

インタビュー内に

原作モノを書くときは、原作をまず第一に順守します。(中略)原作モノをやるんだったら、基本的に原作や原作者のマインドを一番に大事にしたい。そうすることで、オリジナル作品では至ることのない考え方や学びも得られますし、そこに意義を感じているからこそ原作モノをやっています。

とあるのですが、まさにその通りで、このミュージカルは「スマイレージ」というグループを「原作」に、彼女たちのために描き下ろされた脚本なんだなと言うのが(グループのことを詳しく知らなくても)随所でひしひしと伝わってきて、すごく幸せな気持ちになりました。

本作で彼女たちが演じるのは自分であって自分でない「もう1人の自分」。台詞も楽曲も全て、脚本/物語=フィクションの上にある。だからこそ言葉にできることも、あるいは(もしかするとやむを得ず)言葉にしなきゃいけないこともあったのかもしれない。虚飾、素顔、芝居、本音、どれがどれだか観客にはわからない。でも舞台上の彼女たちは全部全部全力なんですよね。それがわかる。だから信じたくなる…と言うか、もう嘘だろうが虚飾だろうが芝居だろうが、目の前にある舞台と彼女たちが発する台詞に、自分の心が温まって幸せになるのは全部「真実」なんですよね。素晴らしい夢を観させてもらってる。すごい、めちゃくちゃアイドルじゃん!ありがとう!だいすき!アイドルのあなたたちがだいすき!て思う。
しその構造を浮き彫りにした上でチャンプルーにしてくるこの脚本の構造、すごくないですか…?びっくりする…。

キャストさんのはなし!

先述の通り、私はまだキャストさんたちのアイドルとしての姿をほぼ知らないに等しいので、ここでは全部「役」の彼女たちについて語りますね。
キャストさんのお顔と名前は少しずつ覚え始めて来たのですが、和田さんがスノウ(リリウム)、中西さんがキャメリア(同)と同じ方なのにも途中まで確信が持てなかったくらいなので…8本観てもいまだそんな感じです(これは私の記憶力の問題もありますが、劇女のキャストさんの力だとも思うのです。すごい)。

リーダーの「アヤカ」は透明感があって、どこか不思議な雰囲気もまとっているのに、しっかりとみんなの中心にいる。「あまのじゃく」で「君のことなど興味ない」って歌う表情と歌声、静かなのに迫力というか気持ちの強さみたいなものが感じられてどきっとした。
「カノン」はツンと斜に構えていて、舞台上でもみんなから一歩距離を置いて立ってたりするし、厳しいツッコみもするけれど、「アイドル」であることに誰よりも貪欲である気がする(キャラ作りまでするタイプというか)、それでいて誰よりも情が厚くてメンバーが大好きでしょ…。
「カナ」は「こんな子だったんだ!」とびっくり。喋ってるときはどちらかというと「スマイレージ」の空気に馴染んでいる感じなのに、歌になるとめちゃくちゃ力強くて輪郭がはっきりする。あのお声で「ヤッタルチャンになるんやで」って言われたら「なりまーす!」ってなる。
「アカリ」はお名前の通り明るくて元気いっぱいで、きっとライブやトークでもずっとこういう「素顔」を出してる子なんだろうな-!ってなる。お声と表情の七変化がめっちゃ可愛い。身長が高いわけでもないのにダンスの一挙一動がすごく目を引くのが印象的だったなあ。
「リナ」はパジャマパーティーで先に寝ちゃおうとするマイペースさと愛くるしさがたまらない。「チョトマテクダサイ! 」は小悪魔感もあって、お預けされちゃう竹内君がうらやましくなってしまった。笑 良い意味でクラスにいてほしい「アイドル感」があって目で追ってしまった。
メイミは感情の振り幅もダンスの振りも大きくてダイナミック。落ち込みも地の底なら幸せは大気圏を突破するみたい。誰よりも女優という「未来」を見ているからこそ、「今」をすごく大切に抱きしめてる感じが好きだったし、そんな彼女を通してメンバーもまた今や未来を考えているような構図も良かった。

あと全員の男装、とても格好良くて可愛かったなあ!メンバーは6人で偶数だけど「ニコイチ」で展開しないところが個人的に好きな部分でした。それぞれにそれぞの関係性があるんだろうなあって、思いをはせられる。

「アリス」がモチーフになっているところも、少女の夢と相まって良かったな。最後で伏線改修されてアリス衣装になるところも最高。しかもアリスの「コスプレ」じゃなくて大げさなほどに「アイドル」の衣装、舞台に立つための戦闘服なんですよね。じっくり見てイラスト描きたい…。

noteに下書きだけたまっていってキリが無いのでひとまずまずはここまで!また見返したら追記します!

ヘッダー写真提供:ぱくたそ

*memo*(公式サイト
和田彩花/福田花音/中西香菜/竹内朱莉/勝田里奈/田村芽実スマイレージ
田口夏実/野村みな美/斎藤夏奈ハロプロ研修生
富澤衿香/杉本涼葉/石井杏奈(演劇女子部オーディション合格者)
2014年公演
脚本/演出:末満健一
音楽監督:和田俊輔
振付:YOSHIKO
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS)
主催・企画・制作:BS-TBS/オデッセー

演劇女子部さんの舞台のここが好きだなあって話

配信での観劇は、地方住まい&不定休職でも観られるので本当にありがたい…一方で、案外「気力・時間・タイミング」の都合をつけるのが思いの外難しく、見逃してしまう配信がたくさんある。

その中で、たった1・2週間で7作(各約2時間)も観てしまった、演劇女子部(さん)の舞台について、ちょっと書き残しておきたい。

演劇女子部の舞台に出演するのは、ハロプロ所属の女性タレントさん。彼女たちはいわゆる「アイドル」。「モーニング娘。」といったグループの名前は私も一応知ってはいるけれど、歌といえば「LOVEマシーン」が真っ先に思いつく(そしてそこで知識が止まっている)有様。
アイドルである彼女たちのことを(未だにほぼ)何も知らない。なのに舞台を観たら、転げ落ちてしまった。ごろごろごろ。

演劇女子部演劇女子部とは、ハロー!プロジェクト所属のタレントが出演する舞台作品シリーズ。gekijyo.net

私には、舞台や演技の善し悪しはわからない。彼女たちの芝居は、本職の役者さん達の舞台をいくつも観ている人にとっては、拙く感じる部分があるのかも知れない(し、特に初期作は私でもそう感じる時がある)。

でも、私は彼女たちの舞台に心を揺さぶられる。

それは、アイドルでもあり、ひいては若い女性である役者の「今/一瞬」と、未熟さ・未完成さを的確に捉えた上での(がゆえに残酷ですらある)演目のチョイスが余りに魅力的だから――というのと、なにより、なによりね、そんな残酷な「舞台の作り手/観客」の思惑すら飲み込んで、踏み越えて舞台に立つ彼女たち一人一人を、とても眩しく、気高く感じるから

特に末満健一さんが脚本を担当された「ステーシーズ(は正確には劇女ではないけれど)」「LILIUM」は、10代の「若さ」や「愛らしさ」を永遠に求められるような少女達の役(←すごく雑な表現で申し訳ないのだけれど)を、「アイドル」である少女たちが演じる。ストリーの筋書きもなかなかにえぐい
キャストさんたちが、自分たちにそんな演目をあてがわれる意味や、役を通しておのれに向けられる観客の視線を考えないはずがない。でも全身全霊の芝居や歌唱で観客に自由に「解釈させてくれてる」のほんとうに、すごいと思うんです。
一方で、えぐいといいつつ末満さんの脚本には演者である彼女たち(の性別や年齢や技量)に対する「侮り」や「モノ化」が限りなくないように感じられて、「貴女たちしか演じられない」と作品を信頼して預けているようにも思える。そしてそれに演者が全力で応えている感じ(あくまでも私の所感ですが)がとても好きです。もちろん末満脚本以外の作品も好きです。そう。劇女さんの舞台には「安心感」がある(それはハロプロそのもののあり方でもあるのかも、知れない。憶測ですが)。

「ステーシーズ」の感想でも触れたのですが、「舞台」というコンテンツを私が愛してしまう(歴は浅いけど)のは、役者さんが生きている人間で、一つの舞台が幕を引いた後も、役者さんの人生が続いていくところ。
舞台で演じた役を抱いて、同時に少女やアイドルだった自分のひとかけら/一瞬を舞台置いて、未来に進んでいく。彼女たちのきらめきは、若いからでも女だからでもなくて、本当に命の輝きそのものだってことを、これからもずっと、それぞれの人生で証明していくのだろうな。すごく希望に満ちていて、救われてしまう。

と思うと、もうとにかく、観たい、目に焼き付けておきたい、という気持ちになるのでした。もう何回言ってるかわからないですがU-NEXT(無料トライアルで1カ月見放題)で何作品か配信してます!!ぜひ!!

8/24 追記
約1カ月で怒涛の勢いで演劇女子部(+ゲキハロ)の作品を観賞するなかで改めて実感したのは、「演目」がキャストにも観客にも甘えてないところ。
もちろん客層を広げるための戦略でもあるのだろうけれど、アイドルを推す若者世代が知らなそうな昭和の少女漫画を原作に持ってきたり、演者である10代の彼女たちが知らないであろう時代を舞台にしたり(そして上記の通り、時に脚本が演者・観客にとって残酷に写るときすらある)。
「アイドル」が立つ舞台というコンテンツの性質的に、究極「キャスト(推しが)が魅力的であればそれでいい」ってファンはいてもおかしくないし、作り手にもそういう「甘え」があっても「まあ仕方ないか」と思ってしまうけれど、毎回演目も脚本も演者も本気で「これが舞台だァ!」って殴ってくる。そういう熱量がすごくすごく、好きだなあと思います。

*memo*
観た順(リンクは感想note)
LILIUM(2014)
続11人いる!(2016.10)
ファラオの墓蛇王(2018)
ステーシーズ(2012)
ごがくゆう(2013)
・LILIUM二輪咲き(2015)
スマイルファンタジー(2014)
アタックNO1(2018)
TRIANGLE(2015)
サンクユーベリーベリー(2015)
ネガポジポジ(2016)

これから観る/観たい
ファラオの墓初演(2017)円盤購入
・我らジャンヌ
三億円少女

【観劇記録】ステーシーズ 少女再殺歌劇

珍しく3連休だったので引きこもって観劇三昧していたわけですが、最終日の夕方に「もう一作観よう」と思い立って「ステーシーズ」を選びました。
例のごとくU-NEXTで配信中。今回は男性も出演していて、女性の役は「モーニング娘。」メンバーが熱演(なお「演劇女子部」の名前を冠する前の作品)。怒涛の勢いで観た4作の中で一番古い作品(2012年)です。
結論から言うと休日の終わりに観るものではないです(褒め言葉です)。

あらすじ
突然命を落とした少女たちがゾンビ化する"ステーシー化現象"が蔓延する近未来が舞台。ゾンビ化した少女たちに2度目の死を与える"再殺"を行うべく、せん滅部隊が結成されるが、拡大するゾンビ化を収束させることが出来ない。愛するものを"再殺"しなければならない人々の苦悩の行き先は…

今回の感想というかメモ書きは非・ネタバレ、ネタバレを分けられない気がします。視聴済みでの閲覧推奨。なお原作である大槻ケンヂさんのホラー小説は未読です。

14歳から16歳の少女が、急死・変死をしてゾンビになる。ゾンビ(ステーシー)と化した彼女たちは正気を失い人間を襲うため、チェーンソーなどの武器で活動不能になる165分割以上の細切れにしなければならない。…っていう設定を「そういう世界だから」と割り切って、あくまでの舞台上のものとして観られればよかったんですけど…私は無理でした。

作中の挿入歌で、そういう世界の構図は「神様の気まぐれ」なのだとゾンビになった少女たちが歌う。じゃあその「神様」って何者なの、って考えると、それは少女たちに「少女のままでいてほしい」「美しいままでいてほしい」「笑っていてほしい(一度死ぬ前、少女たちはよく笑うようになる)」と願う存在ーーつまるところ私(観客)なんじゃないか、と考えてしまって。

最初は単純に、「少女と男性」としての構図を脳裏に描いていたんですけど、そうじゃない、私も彼女たちを鋳型にあてはめて無理やり止めようとして、消費してるんだ(私は正直、若い女性たちが演じる彼女たちの舞台のきらめきに胸をときめかせながらも、彼女たちと舞台をコンテンツとして楽しんでいることに、どこか罪悪感があった)、って思ったらなんかもうずっと胃が重かったです。で、一度「少女」として死んだ(殺されたとも言えると思う)彼女たちは、ゾンビとなることで「少女を辞める」。加えて、一度死んでもゾンビとして「再生」するのは「愛する人と再び会いたかったから」とも歌う。「傷つけたかった(覚えていて欲しかった)」とも。渋さんと一緒にごめんなって謝って地に伏したいのは私だよ。

乱発してる「彼女たち」って表現も、ステーシーになってしまった少女(役)とキャストさん(役者)をうまく頭で分けられてない証左なのだと思います。LILIUMの時も「この舞台・演目をアイドルであり若い女性であり、作中の繭期(思春期)のただなかにある少女たちに演じさせるのか…」と閉口するとともに、舞台上の彼女たち(ああまたこの呼び方してしまった…)にひたすら息を飲み感服していたのですが、ステーシーズはLILIUMと似た構造をさらに生々しく突きつけられたというか、を「額縁に収められた地獄の絵画」とするなら、ステーシーズは「客席に容赦なく降ってくるハーブティーの香りをした生肉ミンチ」って感じでした。地獄。

一方。そんな「彼女たち」を演じきるキャストさんが本当に、すごいし、気高いと思う。演技はLILIUMを観た後だとかなり荒いというか拙くも感じるのですが、LILIUMより前にステーシーズという舞台を完成させているというのが、凄まじい。そして「舞台上の彼女たち」のかけらを抱きながら、今も舞台の上で輝き、現実世界で生きてゆく、生き続けていく「彼女たち」に、とてつもなく(勝手に)赦されて、救われてしまう。

舞台の好きなところって、キャストさんが生きている人間で、舞台が終わった後もその方の人生が続いていくところだなと思います。キャストさんのなかには一度幕引きされてしまった物語や、あるいは舞台の上で死んでしまった役たちがある/いる、そして全てが次の舞台に、続いていく人生の1ピースになっている。観客の身勝手な願望でしかないし、その願望すらキャストさんにとって重荷でしかないのかもしれないけれど、存在が希望というか。ありがとう、とひたすらに思う。

ということをめちゃくちゃ考えてしまう舞台でした。私にとっての舞台の展開/感想を指す「地獄」は、舞台上での悲劇の度合いに関係するものではなく、己自身の醜悪な姿が舞台によって暴かれることであるような気がします。なので観劇するのがリリウムの10倍くらい辛かったです。私は。

男性キャストさんの力強い歌声と女性キャストさんたちの高らかな歌声がぶつかり合うような挿入曲、良かったです。あとステーシーたちの衣装もそれぞれ個性がでていた。まだ自分の中で整理が付いていないですが、観られて良かったと思います。また最下部でつらつら語ります。

*memo*
田中れいな - 詠子 譜久村聖 - 利江香/静美
生田衣梨奈 - 玉代 鞘師里保 - モモ
鈴木香音 - 砂置子/領子 飯窪春菜 - ミキヨ/美伊
石田亜佑美 - 砂也子 佐藤優樹 -七緒
工藤遥 - ドリュー 河相我聞 - 渋川
山本匠馬 - 有田 白又敦 - 祐助
山浦徹 - 卒川隊長 赤星マサノリ - 小此木先生
真心 - 柳沢/詩人 菊池祐太 - 松井
郷志郎 - 雪住 キムユス - 小杉/倉庫番
椎名茸ノ介 - 録山
スタッフ
原作 - 大槻ケンヂ『ステーシーズ 少女再殺全談』(角川文庫)
脚本・演出 - 末満健一(ピースピット)
音楽 - 和田俊輔
プロデューサー - 丹羽多聞アンドリウBS-TBS)/佐々木淳子

つらつら語る初見ネタバレメモ
田中れいなさん「赤毛のアン」で主演予定だった方ですよね…気になってた舞台だったので中止になったことが本当に改めて悲しかった。ステーシーズで演じる詠子は、ギャルっぽい服装と言動のなかに鋭さや諦観も感じさせる部分があって、好きでした。目を細めた笑顔と、すっと表情が失せた時のお顔が印象的。あとお声が良い意味で少し癖があってよく通るなと。最後の渋さんとの殺し合い、息を飲みました。
・鞘師さん演じる「モモ」。リリウムでは洗練された美少女感がありましたが、モモは「生身の天使」って感じだったな…。生肉を砂糖でコーティングしてるというか(いやちょっとこれはあんまりピタッとくる例えではないな…)。彼女が「ステーシーにも意思がある」と示し、自分を殺すものたちに「苦しまないで」と語ることは、「赦し」などではなく、むしろさらなる糾弾に近いものを感じた。モモであり、モモではない。彼女はあの場にいた誰もが本当の名前すら知らない少女でもあったわけで。考えさせられる。
・工藤さん演じるドリュー、フリフリ衣装がお可愛い。工藤さんの演技/声は良い意味で「浮く」というのは前にも書きましたが、今回は「死にたくない」と逃げ出した「ステーシーらしくない」少女の役割としても、ぴったりはまっていたと思います。手足細くておれそうと勝手にハラハラしてしまった…。
・工藤さんの声で思い出したのですが、作中の少女たちの笑い声、めっちゃ頭に残りますね。箸が転げても笑う、鈴のような、でもキンと頭に刺さるような笑い声。彼女たちはニアデスハピネスゆえの多幸感から笑っているのか、それとも外を嘲笑っているのか。
・石田さんの砂也子も印象的だったな。ストレートヘアに肩出しのワンピースがなんとなくもっとも「アイドル」っぽくて目を引いた。少年とステーシーが「アダムとイヴ」になる。聖書どおり捉えるなら祐助と砂也子の逃避行は、楽園を出る行為とも言える。そして砂也子はもう「少 女」ではない…ということをぐるぐる考えていました。
(女性陣のことばっかりで男性陣のことを考えている余裕がない!!)

【観劇記録】ファラオの墓〜蛇王・スネフェル〜

U-NEXTで配信中の作品。原作は未読。ハロプロ所属のタレントでつくる「演劇女子部」さんの作品もこれで3作目。古代エジプトを舞台にした架空大河ロマン(戦記)です。2時間とは思えない濃さでした…!

あらすじ
強国・ウルジナの若き暴君スネフェルは全エジプト制覇の野望を抱き、次々と戦をしかけ国の領土を広げていた。一方、ウルジナに滅ぼされた小国の王子サリオキスは奴隷として落ち延び、のちに対ウルジナ勢力をまとめる「砂漠の鷹」として反旗を翻す。
サリオキスと生き別れた妹姫・ナイルキアはウルジナの神官の養女となっていた。スネフェルは森でナイルキアと出会いそれぞれお互いの名も身分も知らないまま惹かれあっていく。

まず目を引くのは絢爛豪華な衣装!特に王族の服や冠、腕輪が照明を弾いて、息をする胸の上下だけでもめっちゃキラッキラ光る…きれい…。ウルジナに反意を抱くムーラ族の衣装は野性味のある盗賊風で、これもまたいい。もちろん楽曲やダンスもオリエンタル。あと、見所といえば殺陣!なんとなく前2作の鑑賞で劇女さんは殺陣やらないのかなぁと感じていたのですが、ガッチガチにやってました。めっちゃ迫力あります。

おそらく原作ではサリオキスが主人公ポジだと思うのですが、タイトルの通り敵ポジの「蛇王・スネフェル」を中心に据えた構成です。冷酷暴虐の王が愛を知っていく物語…と書けばとても良い響きなのですが、彼には信用できる人も臣下もおらず、愛した人は敵国の王女なんですね…。

人を嘲笑い、煽り、殺す、冷酷非情の王・スネフェル役は、「続・11人いる!」で好青年(タダとフォース)を演じていた石田亜佑美さん。カッと目を見開いて顎を少しあげる動作や、目を細めて口の端だけで笑う表情、あまりにも「王」…。それでいて、愛を知らない孤独と乾き、内側に固く鎖された繊細で無垢な心も場面場面で感じさせられる。

小田さくらさん演じるナイルキアは可愛らしい(けれどよく通る)お声と歌唱が素敵。可憐なだけでなく、聡明で気高い。「幸せとは何か」を語る彼女の言葉一つ一つが、乾いた砂漠に雨が落ちるようにスネフェルに沁みていくのがとても良い…。

サリオキスは、話の流れとしてはあくまでも反乱の旗頭として担ぎ上げられる流れを描いている(内面の描写は少なめ)といった印象なのですが、スエフェル役・石田亜佑美さんと、サリオキス役・加賀楓さんは、そこはかとなくお顔立ちというか雰囲気が似通ってる(気がする)んですよね。それが、サリオキス側に深い掘り下げがなくとも、彼らが対であり、鏡写しの存在であるかのように見せる。

各役の印象は下のネタバレ感想でまただーっと語るとして。殺陣と人間ドラマ、ドラマティックな起承転結にずっと目が釘付けでした。でも彼らの「物語」すら歴史という大河の一瞬にすぎないと括られるところまで含めて好き。初演の方もいつか観てみたいな。


*memo*
スネフェル:石田亜佑美/サリオキス:加賀楓
ナイルキア小田さくら/アンケスエン:牧野真莉愛
トキ:譜久村聖/イザイ:野中美希
アリ:森戸知沙希/パビ:羽賀朱音
ネルラ:飯窪春菜/ルー:横山玲奈
マリタ:生田衣梨奈/ジク:佐藤優樹
メネプ神官:清水佐紀/ケス宰相:扇けい
メリエト皇太后:汐月しゅう
【原作】竹宮惠子ファラオの墓』(小学館/中公文庫コミック版 刊)
【脚本】清水有生【演出】太田善也
【音楽】和田俊輔【振付】YOSHIKO
【殺陣指導】六本木康弘
【プロデューサー】丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS)
【主催・企画・制作】BS-TBS / オデッセー


以下、初見ネタバレ箇条書き感想。
・野中さん、チュチュ姫演ってるときも勇ましい役似合うなあ…と思ってたけどイザイめっちゃかっこよかった。
・佐藤さんのジク…佐藤さん、トマノとかマーガレットとか、クセのある、良い意味でヨゴレや狂気のある役の演技が好き。「恐れながら申し上げます〜」からの下りの大げさで煽りまくりで楽しそうな感じたまらない。ヒャハハ!
生田衣梨奈さんのマリタの残忍な笑みがくせになるし、剣をふるう唯一の女性役でもあるので華があったな。
・譜久村さんは何の役してても存在感がすごいし、今回はある種語り手の立ち位置でもあって、要所要所で舞台を補足して締めてくれる。あと年若き女性への表現としては適切ではないかもだけれど「母」の立場が似合う方でもあるのだなあと。強さと包容力がある。
・スネフェルの母である皇太后役・汐月さん(元宝塚男役)は今回もとてもかっこいいし女性役も素敵…。譜久村さんとはまた違った王族としての「母」の役、よかったな…。スネフェルを愛したかったけれど愛せなかった苦しみ…。
・アンケスエン役・牧野真莉愛さんはまだ自分の中でも掴みきれていないんだけど、そこはかとなく超然とした役が似合いますよね。牧野さんのアンケスエンは姫というよりも巫女に近いようなイメージ。おそらくサリオキスとの関係は原作だと掘り下げられていたのだろうな。
・ルーが可愛い。ララララーってずっと聞いていたくなる。
愛する人一緒にいることが幸せだと語ったナイルが「あなたの剣で〜」って泣けるし、スネフェルの飾らない言葉と「ひとりぼっち」の孤独が「生きるのは辛いこと(でも生きるのだ)」という孤独がナイルを絶望から引き上げたことが改めて楽曲で語られるのほんと…。そしてこの2人のことはこの2人しか知らないんですよね。サリオキスも知らない。
スネフェル王、書面はよくよく読んでくれー!頼むー!!!!!(誰しもがあの場面で思ったに違いない)毒酒で思考力が鈍って� ��たのもあるんだろうな…。
・最終的にサリオキス王子が勝つわけだけれど、彼が治めた短い平穏と、愛を知り幸せな国について考え歩み始める道もあったスネフェルが王位につき続けたイフの未来、どちらが良きものだったのだろうかと考えさせられてしまう。
(また多分追記します)

【観劇記録】続・11人いる!東の地平・西の永遠

LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」の次は、同じくハロプロの「演劇女子部」さん上演の「続・11人いる!」を。両作ともU-NEXTで配信中です(1ヶ月無料トライアル、あります)。
演劇女子部さんは複数作配信されてるのですが、なぜ本作を選んだかというと…萩尾望都さんの原作漫画が子供の時から大好きだから〜!(母がファンで私も読んでいた)。
本舞台はオールダブルキャストで上演されています。「EAST」版と「WEST」版の順で鑑賞(そして円盤も注文した)。リリウムに出演されてるキャストさんたちの全く違う芝居が観られたのも衝撃&感動でした。立て続けに見るの、オススメです(いい意味で心をめちゃくちゃにされる)。

あらすじ
テレパス能力を持った少年・タダと、男女両方の性を持ち、大人になる時に性別を選択する運命を持つフロル。2人は宇宙大学入学試験に合格し、恋人同士となる。ある日、タダのもとに東の国を治めるバセスカから手紙が届き、タダとフロルはバセスカを訪ねる。
萩尾望都原作のSF大作にモーニング娘。'16が挑んだミュージカル

話の軸となるのは、あらすじにも出てくるタダのフロルのカップル+入学試験で友情を育んだ、アリトスカ・レ(東の地)の王・バセスカと、アリストカ・ラ(西の地)の王族・フォース。
バセスカとフォースの母星(宇宙規模の話なので国ではなく星なんですよね)は隣り合う兄弟星。しかし、鉱山を巡る武力紛争が続いている。
そしてタダとフロルの滞在中、東の地でクーデターが発生。バセスカは王位を追われ、大人たちの策略により東西は戦争状態に。バセスカとフォースは対立する立場になります。国か、家族か、友情か…戦争を止めることはできるのか。そして「愛する」とはなんなのか…彼らの選択をぜひ観てほしい。

原作の男性役も全て女性のキャストさんが演じます。それがまた良い味を出してる。EASTもWESTも筋書きは同じですが、衣装のデザインと配色が異なっていたり、細かいセリフの表現がキャストさんによって違ったりで、比べやすくて面白いです。

2作品の雰囲気の違いは、バセスカ&フォースの違いが大きい気がします。役作りとして重なる部分もあるのですが、EASTの2人は葛藤や信念のぶつかり合いとどっしりとした王族感が勝り、WESTの2人は友情と故国の間に惑う青々しさと繊細さの残る青年感が勝る、というのが私個人の印象。どちらもすき。

タダとフロルは、EASTは柔らかく知的な雰囲気のタダ&本当に性別の真ん中にいるようなフロル、WESTは爽やかな少年感のあるタダ&恋を踏まえた上で少女が内側からかすかに香るフロル、みたいな感じでした。なおEASTではフロル、WESTではタダを工藤遥さん(リリウムではファルス役)が演じています。すごい…(し、他のキャストさんも全く違う役を両バージョンでやってるので、感動通り越して目が回ります。笑)。

演劇女子部のキャストさんの演技、みんな好きだなあ…。女性だけの舞台という華やかさももちろん良いですが、私はアイドルであるときの彼女たちの表情を知らないので、舞台上の彼女たちの芝居が今の所私の知る全てで。舞台の彼女たちは、可愛いというよりも苛烈で、甘やかというよりも泥臭く、板の上にむき出しの魂、生命力の塊があるという感じで、好きです(きっとアイドルであるときも素敵なのだろう)。歌とダンス、今回もキレッキレだった!
あと、元宝塚の男役である汐月しゅうさん、未沙のえるさんがご出演されていて、お二方の演技と歌唱がめちゃくちゃ舞台を引き締めてます。お二人の歌声やセリフの響きやキレはまさに「歴戦の猛者」という感じで、まだ女子演劇部のキャストさんには出せないと思わされちゃう貫禄がある。めっちゃカッコいい。
私はヅカにまったく馴染みがなくて知識もほぼないのですが、お二人が出てきた瞬間「え、ヅカじゃん…」と思いました。本当にヅカだった。すごい。

リリウムが衣装や演出でどっぷり世界観・空気感にまで浸れる&酔えるタイプの舞台だったのに対し、11人は近未来SFというのもあって最初は没入しづらかったのですが、キャストさんの一挙一動でおぼろげだった漫画のコマ割とかセリフがぶわっと思い出されていくのが凄まじく爽快でした。
個人的には原作読んでから舞台観るのがオススメ(あくまでも「続」の舞台化なので、その前座というか本編を読んどくと解像度めちゃくちゃ上がると思います)。でも原作知らずに観る体験もしてみたかったかな…。読む前と後で2回観るのはどうでしょう、これだ!(名案)。

11人いる! (小学館文庫)www.amazon.co.jp 550円(2020年07月31日 11:16時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する

余談
萩尾作品の舞台に触れたら他の萩尾作品の舞台も見たくなって、別の劇団さんの作品ですが「トーマの心臓」も円盤を…買いました…。そう、そうだ、萩尾作品と言えばリリウムがお好きな方には「ポーの一族」おすすめです。永遠を生きる吸血鬼の少年・少女の物語です。

*memo*(公式サイト
イースト■
タダ:石田亜佑美/フロル:工藤遥
バセスカ王:譜久村聖/フォース:小田さくら
チュチュ:野中美希/オナ:牧野真莉愛
レッド:生田衣梨奈/トマノ :佐藤優樹
石頭:羽賀朱音/ローン:尾形春水
アナテイ:飯窪春菜/アマン伯爵:浅倉樹々
ドゥマー:小片リサ
■ウエスト■      
タダ:工藤遥/フロル:小田さくら
バセスカ王:佐藤優樹/フォース:石田亜佑美
チュチュ:牧野真莉愛/オナ:譜久村聖
レッド:岸本ゆめの/トマノ :尾形春水
石頭:生田衣梨奈/ローン:飯窪春菜
アナテイ:山岸理子/アマン伯爵:野中美希
ドゥマー:羽賀朱音

ゾンブル:汐月しゅう/バパ大臣:未沙のえる

Staff
原作:萩尾望都「続・11人いる!東の地平・西の永遠」(小学館刊)
脚本:坪田文
演出:西森英行(Innocent Sphere)
音楽:和田俊輔
振付:振付屋かぶきもん
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS)
主催・企画・制作:BS-TBS / オデッセー


以下、箇条書きネタバレ初見メモ。
・2作品みて一番印象的だったのは、フォースの「彼は友達なんだ」のニュアンスの違いだな。小田フォースは葛藤の中で絞り出すように、石田フォースは張り裂けるような叫びで表現する。続くバセスカ・フォースの「僕は君を殺さねばならない/僕は君を殺す」「君に殺されるわけにはいかない/私は死ねぬ」の掛け合いが一番劇中で好きな見せ場。
・両作ともチュチュ姫が好きだなあ。野中さんも牧野さんも、姫君の気品と家族思いな部分が顔に表情に現れている…。「兄の名を呼ばないで!」「お前に約束をする誇りがあるの」「おやめ、何をいうの」の下りがめっちゃすき。原作の表情と声のイメージとテンポそのままなんだよ…。
・指を切られそうになるフロルの代わりにタダがなるオリジナルの一場面、よかったです。タダという少年の「愛し方」を象徴するシーンでもある。言葉がないと不安だったフロルの心が、タダの行動で開かれていく感じがまた尊いのだ…。
・フロルは作中では女でも男でもなくて、最後には「(タダのために)女になってもいいぜ」とも言うのだけれど、フロルが男になっても女になっても、その傍らにはタダがいると思うんですよね。そんな2人が、小さい時から好きです。
・思いあってるバセスカとオナが結ばれない、そしてバセスカとチュチュ姫が婚姻を結ぶ、という展開が私はすごくすき。それはけして不幸ではなく、それぞれに途切れることのない深い想いの繋がりがあるんですよ…。3人の選択は、巫女であること、王族であることの誇りのあわられであり、亡き人の思いを繋ぐ決意でもある。好き。
・「和平を望んでおります」で毎回涙腺決壊してしまう。ローンおじさまいいよね…。あとバパ大臣とバセスカの関係よ…。
・「死にたいときに死ねぬ」と匂わすの、ほんとさぁ…ほんとさぁ…(萩尾先生の作品に対してもう好きしかない)
・魂通しの交流を描くのに歌が挿入されるの好き。タダもフロルも、バセスカ�� �フォースも、視線を交わす(目を合わせる)一瞬の中であまりに膨大で言葉にできない想いを交わし合って、通じ合ってるんだよね。
EAST

画像1

・譜久村バセスカがもう、圧倒的にカッコいい。最初から最後まで圧倒的「王」。カリスマと誇りを感じさせる。内側から光る。「私は誰だ」「マヤ王バセスカだ」の下りが狂おしく好き。あと衣装が好き。アリトスカ・レは一応「冷たい風が吹く」と表現されてるので、EASTのあとに観たWESTの衣装が配色とモチーフが入れ替わってアラビア風になったのはちょっと最後まで違和感があったかも(というかやっぱり初めに見たEASTの印象に引っ張られちゃうのかな)。でもどっちもよかったし好き〜〜〜。
・小田フォース…赤の衣装がめっちゃ似合う。あとお顔立ちがはっきりしてるからアラビア風の衣装めっちゃ映える…。あとリリウムオープニング?の時も思ったけど、力強い歌唱本当にすき。
・工藤フロルの中性感…。工藤さんの芝居は(まだ2作見ただけだけれど)良い意味で最初は「浮く」印象があって。観る側に小さな引っ掛かりを残すんですよね。でもそれが進行とともに舞台の一部になってどんどん加速して深化していく。惚れちゃう。
・佐藤さんのトマノ可愛すぎて、クソ野郎なのに憎めなくて困る。WESTでバセスカやってるの「???同一人物…???」とならざるをえない。
WEST
・「11人いる」の時の若者感がある、けれども誇り高き王族の佐藤バセスカ〜!!でもあなたさっきチャランポラントマノ演ってましたよね!?と上記の通り頭が混乱する。あえて低めの声出してる時も素の声に近い声の演技の時も好き。なんとなくWESTのバセスカが本当の意味で「王」になったのはフォースの死を経てのような気がする(EASTにもその側面があるけど、こちらのほうが強く感じる)。
・石田フォース、繊細な感情と潰れそうな苦しさが前面にでてる。バセスカとの掛け合い、めっちゃ声震えてるのが「ああ…ああ…」ってなって泣いてしまう。「殺す」を自分に言い聞かせるように歌うんですよね…。
・小田フロル、乙女〜〜!(いや女じゃないんだけど!)乙女というより…なんだろう、とにかく可 愛いんですよね。でもあくまでも自然体なの。EASTでフォースやってた人なの???本当に???
(また多分追記する)

追記
・なんとなくなんだけど東は原作ベースの配役で、西はハロヲタさん向け(歓喜)の配役のような気がする。西はハロヲタさんなら「そうきたかー!」とか「わかってるなあ!」と唸らされる配役というか。佐藤さんのバセスカ役とか、工藤さんのタダ(男装)とか、美しい譜久村さんとか。それでいて役作りもうまく東と差異を出してて、うまいなぁと感じる。だからどっちも好きだなあって感じられるんだろうな。
・東が(どちらかというと)原作再現に重きをおいてると感じられるのはバセスカの衣装というか帽子が明らかに原作よりだから(洋風で羽根がある)。西で衣装の色彩と国のコンセプトごとひっくり返してるのも、2バージョンの違いがわかってくるとなおすとんと納得できる。