KANGEKI-LOG

観劇とか感激とか思考の吐き出しとか

演劇女子部さんの舞台のここが好きだなあって話

配信での観劇は、地方住まい&不定休職でも観られるので本当にありがたい…一方で、案外「気力・時間・タイミング」の都合をつけるのが思いの外難しく、見逃してしまう配信がたくさんある。

その中で、たった1・2週間で7作(各約2時間)も観てしまった、演劇女子部(さん)の舞台について、ちょっと書き残しておきたい。

演劇女子部の舞台に出演するのは、ハロプロ所属の女性タレントさん。彼女たちはいわゆる「アイドル」。「モーニング娘。」といったグループの名前は私も一応知ってはいるけれど、歌といえば「LOVEマシーン」が真っ先に思いつく(そしてそこで知識が止まっている)有様。
アイドルである彼女たちのことを(未だにほぼ)何も知らない。なのに舞台を観たら、転げ落ちてしまった。ごろごろごろ。

演劇女子部演劇女子部とは、ハロー!プロジェクト所属のタレントが出演する舞台作品シリーズ。gekijyo.net

私には、舞台や演技の善し悪しはわからない。彼女たちの芝居は、本職の役者さん達の舞台をいくつも観ている人にとっては、拙く感じる部分があるのかも知れない(し、特に初期作は私でもそう感じる時がある)。

でも、私は彼女たちの舞台に心を揺さぶられる。

それは、アイドルでもあり、ひいては若い女性である役者の「今/一瞬」と、未熟さ・未完成さを的確に捉えた上での(がゆえに残酷ですらある)演目のチョイスが余りに魅力的だから――というのと、なにより、なによりね、そんな残酷な「舞台の作り手/観客」の思惑すら飲み込んで、踏み越えて舞台に立つ彼女たち一人一人を、とても眩しく、気高く感じるから

特に末満健一さんが脚本を担当された「ステーシーズ(は正確には劇女ではないけれど)」「LILIUM」は、10代の「若さ」や「愛らしさ」を永遠に求められるような少女達の役(←すごく雑な表現で申し訳ないのだけれど)を、「アイドル」である少女たちが演じる。ストリーの筋書きもなかなかにえぐい
キャストさんたちが、自分たちにそんな演目をあてがわれる意味や、役を通しておのれに向けられる観客の視線を考えないはずがない。でも全身全霊の芝居や歌唱で観客に自由に「解釈させてくれてる」のほんとうに、すごいと思うんです。
一方で、えぐいといいつつ末満さんの脚本には演者である彼女たち(の性別や年齢や技量)に対する「侮り」や「モノ化」が限りなくないように感じられて、「貴女たちしか演じられない」と作品を信頼して預けているようにも思える。そしてそれに演者が全力で応えている感じ(あくまでも私の所感ですが)がとても好きです。もちろん末満脚本以外の作品も好きです。そう。劇女さんの舞台には「安心感」がある(それはハロプロそのもののあり方でもあるのかも、知れない。憶測ですが)。

「ステーシーズ」の感想でも触れたのですが、「舞台」というコンテンツを私が愛してしまう(歴は浅いけど)のは、役者さんが生きている人間で、一つの舞台が幕を引いた後も、役者さんの人生が続いていくところ。
舞台で演じた役を抱いて、同時に少女やアイドルだった自分のひとかけら/一瞬を舞台置いて、未来に進んでいく。彼女たちのきらめきは、若いからでも女だからでもなくて、本当に命の輝きそのものだってことを、これからもずっと、それぞれの人生で証明していくのだろうな。すごく希望に満ちていて、救われてしまう。

と思うと、もうとにかく、観たい、目に焼き付けておきたい、という気持ちになるのでした。もう何回言ってるかわからないですがU-NEXT(無料トライアルで1カ月見放題)で何作品か配信してます!!ぜひ!!

8/24 追記
約1カ月で怒涛の勢いで演劇女子部(+ゲキハロ)の作品を観賞するなかで改めて実感したのは、「演目」がキャストにも観客にも甘えてないところ。
もちろん客層を広げるための戦略でもあるのだろうけれど、アイドルを推す若者世代が知らなそうな昭和の少女漫画を原作に持ってきたり、演者である10代の彼女たちが知らないであろう時代を舞台にしたり(そして上記の通り、時に脚本が演者・観客にとって残酷に写るときすらある)。
「アイドル」が立つ舞台というコンテンツの性質的に、究極「キャスト(推しが)が魅力的であればそれでいい」ってファンはいてもおかしくないし、作り手にもそういう「甘え」があっても「まあ仕方ないか」と思ってしまうけれど、毎回演目も脚本も演者も本気で「これが舞台だァ!」って殴ってくる。そういう熱量がすごくすごく、好きだなあと思います。

*memo*
観た順(リンクは感想note)
LILIUM(2014)
続11人いる!(2016.10)
ファラオの墓蛇王(2018)
ステーシーズ(2012)
ごがくゆう(2013)
・LILIUM二輪咲き(2015)
スマイルファンタジー(2014)
アタックNO1(2018)
TRIANGLE(2015)
サンクユーベリーベリー(2015)
ネガポジポジ(2016)

これから観る/観たい
ファラオの墓初演(2017)円盤購入
・我らジャンヌ
三億円少女